大学院生の齋藤岳人さんが執筆した下記の論文が2021年度の基礎心理学研究優秀論文賞を受賞しました。ご評価くださりありがとうございました。
齋藤岳人・井上和哉・樋口大樹・小林哲生 (2022). 仮名文字に対する単純接触効果―実験室外の接触頻度と文化間比較に基づく検討― 基礎心理学研究, 40, 170-174.
大学院生の齋藤岳人さんが執筆した下記の論文が2021年度の基礎心理学研究優秀論文賞を受賞しました。ご評価くださりありがとうございました。
齋藤岳人・井上和哉・樋口大樹・小林哲生 (2022). 仮名文字に対する単純接触効果―実験室外の接触頻度と文化間比較に基づく検討― 基礎心理学研究, 40, 170-174.
出願自体は来年の1月になりますが,学生支援の申請は10月・11月に行われます。博士後期課程に進学希望の方はこちらの学生支援に応募することを強く推奨しておりますので,お早めにご相談ください。
「双対型」人材育成(FS-SPRING)プロジェクト
日本心理学会
日本認知・行動療法学会
認知心理学会
発表済み
大学院生の西村誠さんと齋藤岳人さんが公益財団法人吉田秀雄記念事業財団の研究助成に採択されました。
https://www.yhmf.jp/news/2022/0421_2022-2.html
基礎心理学研究の特集号「オンライン基礎心理学研究の挑戦」に採択された2本の論文がJ-STAGEで早期公開されました。
齋藤岳人・井上和哉・樋口大樹・小林哲生 (2022). 仮名文字に対する単純接触効果: 実験室外の接触頻度と文化間比較に基づく検討 基礎心理学研究, 40(2), xxx-xxx. [Link to J-STAGE]
Park, K., Li, Y., & Inoue, K. (2022). Seriously participated? Including catch trials does not in itself improve the assessment of explicit sense of agency in online experiments. The Japanese Journal of Psychonomic Science, 40(2), xxx-yyy. [Link to J-STAGE]
博士後期課程1年次の齋藤岳人氏が多視座を涵養する「双対型」人材育成プロジェクト(次世代研究者挑戦的研究プログラム)の支援学生に採用されました。おめでとうございます。
Online Psychological Experiment Advent Calendar 2020の19日目の記事です。もう少し新しい情報を含めて書きたかったのですが,井上 (2019)や井上 (2020)の焼き直しみたいな感じになってしまいました。。
私の専門は認知心理学です。認知心理学の研究者の多くは従属変数として反応時間を使用した経験があるのではと思います。経験がある人には分かると思いますが,かなり容易に反応時間の値は変化します。例えば,周囲がうるさくて集中しにくいと反応時間は長くなります。また,実験中にスマホがなったりすると,スマホを早く確認したくなり,反応時間は短くなるかもしれません。キーボードのキーが固くて押しにくいと反応時間が長くなる可能性もあります。
実験室実験ですと,上記のような問題にはある程度対処できます。しかし,実験場所や実験装置の選択が参加者に任されているオンライン実験ですとそうもいきません。このため,従来の実験室実験で報告されていた効果が本当に再現されるのか,実験室実験とオンライン実験で得られる効果の大きさに差がないのかといったことを心配する人がいるかもしれません。
結論を先に言ってしまえば,反応時間を指標とした現象の再現性に関してはそれほど心配する必要はありません。下の表は,反応時間に関係する現象をオンライン実験で検討した結果をまとめたものです(◯は再現)。多くの現象が再現されていることが分かると思います。
マスク下プライミング(masked priming)だけがやや再現性に欠ける結果となっています。マスク下プライミングの実験では,マスク刺激を短時間提示する必要があります。このような閾下提示の実験はオンライン実験に向かないのかもしれません。ただ,そもそも実験室実験でPsychToolboxを使用した場合にも再現されていませんので(Semmelmann & Weigelt, 2017),マスク下プライミングは安定した現象ではないという可能性もあります。
※反応時間と関係が薄いものは表にはまとめていません。
Crump et al. (2013) | Barnhoorn et al. (2014) | Majima (2017) | Semmelmann & Weigelt (2017) | Hilbig (2016) | 中村・ 眞嶋 (2019) | |
ストループ効果 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||
タスク切り替え | ◯ | ◯ | ◯ | |||
サイモン効果 | ◯ | ◯ | ||||
復帰抑制 | ◯ | ◯ | ||||
注意の瞬き | ◯ | ◯ | ◯ | |||
フランカー効果 | ◯ | ◯ | ◯ | |||
視覚探索 | ◯ | |||||
マスク下プライミング |
× | ◯ | × | |||
語彙判断 |
◯ | |||||
心的回転 |
◯ | |||||
|
効果の大きさに関しても,オンライン実験は実験室実験と遜色ないレベルで得られることが報告されています。例えば,Semmelmann & Weigelt (2017)は表に記載された現象を実験室実験とオンライン実験で比較していますが,ほとんどの現象で差が見られませんでした。また,差があったとしても,結果の解釈に違いが出るような本質的なものではありませんでした。同様の結果はHilbig (2016)やde Leeuw & Motz (2016)などでも報告されています。
以上のように,反応時間課題(特に効果量が大きなもの)に関しては,オンライン実験の使用は問題ないことが示されています。ただ,反応時間のベースラインの違いに関しては注意が必要かもしれません。上で紹介している多くの研究で示されていることですが,一般的にオンライン実験では実験室実験よりも反応時間が数十ミリ秒程度長くなる傾向があります。これは,ソフトウェア(ブラウザやOS),デバイス,実験環境などの複合的な要因によって生じるものだと思われます。こうした要因は実験参加者の要因と交絡する可能性があるため(例えば,高齢者は若齢者よりも古いパソコンを使用しているなど),異なる実験参加者集団間で反応時間の全体的なレベルを比較したりすることには気をつける必要があるのではと思います。
もし反応時間についてもっとお知りになりたい方がいらっしゃいましたら,是非「心理学,認知・行動科学のための反応時間ハンドブック」をお買い求めください。
引用文献
東京都立大学大学院人文科学研究科心理学・臨床心理学分野では,7月12日(日) 16時からzoomによる大学院説明会を行います。参加を希望される方はリンク先のpdfをご確認の上,7月5日(日)までにお申し込みください。
http://www.jinsha.tmu.ac.jp/source/kobetsusoudanR0611.pdf
また,本研究室では研究室訪問やzoomによる面談等を随時行っていますので,大学院への進学をお考えの方は電子メールでご遠慮無くお問い合わせください。
E-mail: kazuyainoue[-at-]k-inoue.info
[-at-]を@に置き換えて下さい。
2019年12月3日(火)に,NTTサービスエボリューション研究所の石川ちなつさんをお招きして,第1回心理学を学んだ人のキャリアパス講演会を開催しました。
講演会では,NTTという企業の特徴やNTTでの働き方,心理学者として企業で働くことの大変さなどをご紹介いただきました。また,石川さんが行っている研究もご紹介いただき,とても興味深く聞かせていただき,学生のみならず,教員にとっても非常に有意義な機会となりました。
ありがとうございました。
本研究室では,今後も民間企業の方をお招きして,企業と大学との接点を増やしていきたいと考えています。ご協力いただける方がいらっしゃいましたら,ご連絡をいただければ幸いです。